本を読むという行為に長らく苦戦していたが、最近はっきりとした理由なく読めるようになったので、読んだ。ミステリばかりだ。かつて読んだことのある作品の再読も交ざっている。
- エラリイ・クイーンの国名シリーズ9作(『ローマ帽子の秘密』から『スペイン岬の秘密』まで。早川書房)
- エラリイ・クイーン『日本庭園の秘密』(大庭忠男訳、早川書房)
- アガサ・クリスティー『ナイルに死す』(加島祥造訳、早川書房)
- S・S・ヴァン・ダイン『グリーン家殺人事件』(日暮雅通訳、東京創元社)
- アントニイ・バークリー『毒入りチョコレート事件』(高橋泰邦訳、東京創元社)
- ガストン・ルルー『黄色い部屋の謎』(宮崎嶺雄訳、東京創元社)
- 綾辻行人の館シリーズ9作(『十角館の殺人』から『奇面館の殺人』まで。講談社)
- 法月綸太郎『頼子のために』(講談社)
- 有栖川有栖『乱鴉の島』(新潮社)
国名シリーズでは『フランス白粉の秘密』、館シリーズでは『時計館の殺人』が特に好みに合った。
明快な論理を持つ作品が好きだが、読者である自分がそれを解き明かすことにこだわりはない。見せつけてもらえば十分である。
その意味で、『時計館の殺人』ではまさに見せつけられ、ねじふせられた。一方、『フランス白粉の秘密』では示された道筋に従って自分で答えへとたどり着くことができた。
それぞれにミステリを読む愉しみがあった。
などとしたり顔で語ってみても、最後にはクリスティーによるエンターテインメントの嵐にもまれてノックアウトされることになる。どうしてこんなにおもしろいものをいくつもいくつも完成させられたのだ、この人は。