飛び降りていないことの証明

つつがなく世渡りさえこなせれば

「現代文はどう勉強すればいいですか?」への返事

f:id:sweet_darling:20120731143713j:plain

 高校三年生――大学受験生の人から、質問を受けた。
「国語が苦手で、特に現代文が全然できないんだけど、どう勉強すればいいの?」
 それを受けて、こんな風に答えた。

 

     *

 

 高校時代、私は国語がそこそこ得意でした。そして私の周りにいる友人はたいてい、もっとずっと得意でした。少なくとも、センター試験を見据えたときに、国語の点数に足を引っ張られていると感じている人はいなかったと思います。ですから、現役受験生のときから、私達は国語、ことに現代文の勉強法を聞かれることがよくありました。

 ところが、その質問に対して満足な答えをできる人は誰もいない。「読めばわかる」あるいは不遜を承知で「何がわからないのかわからない」としか答えられない。自分は点数が取れるけれど、人に説明をすることができない。「国語が得意だって言ったくせに」と問い詰められたら、返す言葉がありませんね。

 もちろん、テクニック的なものはあります。よく言われるのは「問いを先に確認してから、文章を読もう」というようなものです。あとは、「筆者の意図より、問題作成者の意図を読み取ろう」というのもあります。

 笑い話であるでしょう、「模試で出題された文章の筆者に『あなたはこれを書いたとき何を考えていましたか?』と尋ねた。筆者は『迫り来る〆切のことしか考えていなかった』と答えた」というもの。この話を聞いて笑うためには、やっぱり問題作成者の意図を、現代文という教科の意味を、掴んでいないといけないんです。もし「筆者の考えと違うじゃないか!」と模試の制作会社に本気で怒鳴り込むような人がいたら、それは現代文のできる人ではないわけです。

 「本をたくさん読めばいい」というのは、経験的には事実です。もし統計を取れば、本をよく読む人の方が、読まない人よりは現代文ではいい点数を取れていると思います。でもあなたのように*1、受験を半年後に控えた人にそういう提案をするのは現実的ではないでしょう。

 じゃあ、どうするか。もう、現代文はあまり勉強しなくていいんじゃないでしょうか。もちろん、パターンを知るのは有効だし、個人的には「慣れ」は非常に重要な要素だと思っているので、学校で出た課題はやればいいし、模試の見直しもするといい。でも勉強はそんなにしなくていい。

 その分、古文と漢文をやった方がいいと思います。これは単に効率の問題です。現代文より、やった分だけ点が伸びやすい。あなた、英語の方が得意でしょう? だったら古文・漢文は似たようなものです。現代文がたとえ20点でも、古典で満点を取れば合わせて120点、6割取れます。そのくらいできれば、あとは何とか他の教科でカバーできるのではないでしようか。

 あまり参考にならない答えでごめんなさい。こんなこと、誰にだって言えますね。正直なところ、今まさに頑張って毎日机に向かっているあなたに、私から伝えることなんて、あってないようなものです。そのまま、身体に気を付けて、勉強を続ければいいと思います。

 最後に、大学で出会った友人から、私が言われた一言を紹介しておきましょう。

--------

「君って、国語ができるくせに、人の気持ちがわからないよね」

--------

 この言葉の前には、国語の教科書に載っている名文や格言、文法から漢字に至るまでの全てのものが、一瞬、色を失うと思います。君って、国語ができるくせに――

 それでは、受験勉強頑張ってください。