内容について語れることはあまりない。書き終えるまでにずいぶん苦労した。自業自得である。ともかく「けり」がつけられたことにほっとしている。ようやくこの話から手を離すことができる。
お知らせを書いておきます。二年前から頒布していた『劇団パピヨンの軌跡』という本があり、今回の新刊『劇団パピヨンの顛末』はその続きとなります。上・下巻の関係と思ってください。
明後日の文学フリマでは、これらを二冊組500円で販売します。なお、過去に『-軌跡』をお求めの方には、『-顛末』のみを200円でお渡しします*1。お申し出ください。
表紙の話をしよう。『-軌跡』に引き続き、『-顛末』もまりあんに描いてもらうことができた。私が「もう駄目だ……こんなもの世に出せないよ……カタログの新刊予告が消えるインクで印刷されていればいいのに……」と呻いていた明け方に、データが届いた。このとき、中身の出来不出来に関わらず、本は必ず出ることに決まった。
いつもそうなのだが、表紙をお願いするときは「内容は何もできていないんだけど、タイトルに合わせて絵を描いてくれませんか? いや、本当に内容は何もできていないんだけど」というやり方をしている。頼まれた方はたまったものじゃないと思う。
『劇団パピヨン』の二冊は、これでも私からの指定が最も多い表紙である。主人公である兄弟の設定を伝え、表現してほしいことと隠してほしいことを告げた。その後、まりあんの方からもいくつか質問を受け*2、届いたのが上に掲載した表紙である。
こんな見た目の本なんて、ものすごくおもしろそうじゃないか。どうしよう、どうしよう。私の書いた文章なんかが、この表紙をまとってもいいものか。
こういう逡巡は、本を作るたびにやっている。いつものことなのだが、慣れることもない。イベントが終われば全て忘れてすっきりするのだが、販売直前は身悶えが止まない。
だからここ数日も、デスクトップの背景に設定した表紙絵を「かわいいなぁ、かわいいなぁ」と愛でながら、中身の出来に思いを馳せて心で泣いている。