飛び降りていないことの証明

つつがなく世渡りさえこなせれば

きっと人徳が必要だ

 お笑い芸人をたくさん集める番組には、二種類あるのだなぁと思った。芸人が苦しんでいるのを見て楽しむ番組と、芸人が楽しんでいるのを見て楽しむ番組だ。

 今の視聴者は、感情移入が強いと言うのか、「あれが自分だったら」という視点でテレビを見ることが多いような気がする(本当に「気がする」だけだ。ただの実感だ)。だから、楽しんでいるのを見て楽しむ番組の方が、広く受け入れられそうだ。少なくとも、演者は好感を持たれるのではないか(好感を持たれるのが良いかどうかは別の話だ)。

 その割には、苦しんでいるところを見せて笑ってもらおうという番組が多い。いけないと思っているのではない。どうしてだろう、と不思議なのだ。「楽しんで、楽しませる」という番組を成立させるのが難しいのだろうか。そのためには、司会者なり、制作者なり、誰かしらに特別な人徳が必要なのではないかと想像する。が、深くは考えずにぼんやりテレビを観ている。