飛び降りていないことの証明

つつがなく世渡りさえこなせれば

仲間が来た! なんて日だ!

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お笑い芸人の人がネタを作っているところ萌え、というのがあると思う。私がそうである。初期の「内村てらす」や「笑×演」でそういうシーンがあると、録画を巻き戻して何度も見てしまった。

さて、「アメトーーク!」の「相方大好き芸人」の回(2017年9月17日放送)を見た。この中で、ロバートの秋山さんが「自分たちのコントは博に4つのツッコミをさせれば成立する」という内容の話をしていらっしゃった。それはテレビで話していいのだろうか、コントの作り方なんて秘中の秘ではないのか、と思わなくもなかったが、以前に別の番組でも「うちらのコントって全部パターン一緒なんすよね」と言っていたので、トークネタの一つなのだろう。

私がとっさにメモしたその4つのツッコミというのは、「何?」「何だ?」「仲間来た」「ムリ」だ。変な奴がいて「何?」、変なことをやりだして「何だ?」、変な奴がもう一人増えて「仲間来た」、付き合いきれなくなって「ムリ」である。

すごい。これはまごうことなく型である。これさえ知っていればロバートのようなコントが作れる、かと言ったらやはりご本人たちのキャラクターや設定あってのものなので、どうしても同じようにはならないだろうけど、でもパターンだけなら同じにできる。やはり秘伝として隠しておくべき情報ではなかったのか。

  1. 「何?」 What's happened?
  2. 「何だ?」 What's the cause?
  3. 「仲間来た」 His fellow came.
  4. 「ムリ」 What a day!

これでコントの3W1Hだ。頭文字を揃えたら他の芸人さんの決め台詞が交ざってしまった。それにしてもシンプルでいい。シンプルなのでこちらの書くことが「型すごい、おもしろい」の繰り返しになってしまっているが、もう少し続ける。

起承転結の転にあたるものが「仲間来た」なのが、私には新鮮だった。転というくらいだから、それまでの流れをぐいと捻じ曲げるような新しい展開を、話を考えるたびにひねり出さなければならないと思っていた。私はいつも起と承で起こったことばかりこねくり回していた。視界は常に狭く、過ぎたほうばかりを向いていた。そこへ仲間が来るのである。世界が明るくなる。可能性の枝が伸びる。そんな手があったのか、と思わされる。

乱暴な言い方だが、困ったら仲間を呼べばいいのだ。これは本当に、覚えておくと小説を書くときにずいぶん助かるんじゃないか。そしてオチが思いつかなかったらどうするのか。「ムリ」と叫ぶのだ。「ムリ」は、「いい加減にしろ」であり、「もういいぜ」であり、「なんて日だ」なのだ。世界そのものをシャットダウンして終わりにするのだ。

良いものが書けるかと言ったら、それはまた別の話だろう。でも、書けない書けないと頭を抱えているときに、とにかく終わりまで持っていけるというのは大きい。書くのが「ムリ」だと思ったときこそ、「ムリ」と叫ぶ。それだけでも覚えて帰ってください。

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