飛び降りていないことの証明

つつがなく世渡りさえこなせれば

禁酒番屋

 図書館から落語のCDを借りてきて流していた。林家たい平の「禁酒番屋」。
 筋を忘れて聞き始めたが、だんだん思い出してきた。ああ、これは確か"下"の落ちなんだよなぁ、と。そういう展開が苦手な私は、確実にその結末へと向かっていく噺に、眉をひそめた。しかしその落ちは、私が気構えていたほどの演出ではなく、案外あっさり終わった、という印象を受けた。
 もっとこってり意地悪く演じることもできそうだが、そこのさじ加減が噺家次第なのだろうなぁ、と想像する。それによって、"下"の噺でも、品良くなったり、子供っぽくなったり、ひたすら気持ち悪くなったりするのだろう。
 他の人が演じる「禁酒番屋」も聞いてみたくなった。しかしそれは、"下"を探して聞くということで、何だかなぁと尻込みしてしまうのである。