飛び降りていないことの証明

つつがなく世渡りさえこなせれば

読めない初稿と終わらない本

 『杞憂に外ならない』のあとがきにかえて。

 

 もう書けない。手が動かない。ペンも持てなければキーボードもろくに押せない。駄目だ、終わりだ、グッドバイだ。諦めて寝転がったところに、iPhoneがあった。マイクのボタンを押すと音声認識機能が働く。この本の初稿はそうやって書いた。

 夢の口述筆記である。頭の中で考えたことがそのまま文章にならないのなら、せめて口で喋ったことがそうなればいいのに。それがこの小さな機械で叶った。小学生の頃、携帯ゲーム機で勉強ができればいいのに、とよく考えていたが、それもとっくに実現している。未来には希望がある。

 『杞憂に他ならない』の一節「買わない約束」の初稿をここに公開したい。戒めである。戒めるというのは、忘れるなと言うことだ。

 

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その旨ねあのねモモ金金金4つで三百宴だった
エキスパートのところ34前からお兄さんいるでしょでもそのカーセンサー兄ちゃんは悪い人だからダメだっていたでしょう
駄目だって言ったけどね優しそうに見えたからね
いい人だと思ったの
お母さん長に依存農家のモモ勝手に取って切って勝手に言ってる人だから悪い人だよ。前にさん言ってたでしょう
でもさぁらしさほんとに悪い人だったのそう捕まってるよね
だからさあのお兄さん捕まらないから悪い人じゃないと思ったの
お母さん様さんお姉ちゃんが入院した時にりんご持ってったでしょうだからね病院行く時に果物いると思ったの
お母さんの病院行くから何か果物ほしいなって思って、それで
ちょうどエキスパートの前にお兄さんいたからりんごじゃなくって桃買ったの
桃音モモねあのね参佰宴だったんだけど私お金持ってないから行こうだけさー何か困ったら電話しなさいって100円もらってたから100円だけランドセルに入ってたの
だからねお兄さんにね100円でも桃買えますかって聞いたのそしたら
100円しかないのって言われて恥ずかしい注目お母さんはお金持ってるけどお父さんもお金持ってる血糖私は100円しかないのって言ったの
それでなくなるちゃってねあのねどうしようとおもったねこっそり持ってなきゃいけないでしょうだって何でも持ってるのって言われてエキスポートのお兄さんにもらったのって言ったら怒られるでしょうだから内緒にしたかったね
落ち持って帰って3年おもちゃ箱とか入れようと思ったけどなんかね潰れるかなと思ってたからお布団敷いてって言ってもうなるのって言われたけど風邪ひいたのって言われたけど何かねネールカラーお願い、言って布団敷いてもらって
それで布団の中に隠したのご飯の時とか布団を中野木話だから誰か踏まないかなと心配だったのよ
そしたらお兄さんねあのね本当は参佰宴じゃないと思うものは買えないんだよって言ったからごめんなさいって言って帰ろうと思った。
でもなのに山根海山根ね一戸建てあげるよって言ったん以降だけ分けてあげるからお金いらないよって
でもねこれはお兄さんが自分のを分けてあげるんだからお店で買ったんじゃないんだよお店で買うときはちゃんとお金出さなきゃだめだよって言われて
わかったて聞かれたからわかったって言ってくれてモモ・トムです相撲お母さんどこにもってこと思ったんだけどね
兄さんが音そのものはまだちょっとだけ硬いかなぁ明日になったらすごくおいしくなるよって言われてたから一晩冷蔵庫に入れないで置いとかなきゃだめだよって言われた
寝る時物物分したらどうしようと思って布団の端っこに寝てモモ反対の端っこに行って踏まないようにねしたんだよ
それで起きて起きて、学校行くときにもうもう2片付けちゃうからどこに隠さないでいけなくてでも家の中だったら掃除されたら見つかっちゃうからとっくに持ってくことにしたんそれでね
ズック袋の中に入れて学校持って出て机の横にかけといたの
これで学校わかったらお母さんところに持っていくでどうぞってやろうと思ったんだけどねね
そしたら値段しますよね誰が買ったんだよって言って凄いクンクン体はなる会議ながら抽出中歩い出たんで私にばれちゃう強いなと思って怖かったから休み時間にね
休み時間に寝ズック袋を持って単なるグラウンドもう後
6袋持ってね亀歌詞から怒られるから降りてたんだけどね歩いてたのねなかねすごいものの匂いしてるなんかもうみんな物の匂いするって言ってるような気がしてね
バイト泥棒からもも買ったんだぜって言われるような気がしてね言われたら桃買ってないよもらったよって言うと思ったけどねでもそしたら泥棒の仲間だって言われ朝から泥棒嫌なのって思って
配ぜん室のところも花壇のところに行ってねそれで年上って穴掘ってももう埋め込む
なんか盛り上がっ俺なくてもう企画からちょっと頭はみ出してだから上から土かけて隠したの
でも先生の今授業中だから静かにしなさい?たんそれで石納最後まで授与したんだけど
先生がね犯人探すんじゃないかと思っておかしいね何か年々年をともとも図書と思ったんだけど先生に探さないでね流さないで
ねお店じゃない人が勝手に果物とか野菜とか売ってるのん泥棒なんだって
泥棒で中の人がせっかく育てたのに自分で食べられなかったりお金にならなかったりするから絶対に絶対にお店じゃないところで買っちゃだめだよって言われたの
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 こうなっても、本は作れる。希望はここにある。こうなっても、本は作れてしまう。恐ろしいことである。

 付記しておくと、きちんと相手に聞き取らせるつもりで話せば、音声認識機能はもっとずっと実用的に使える。「まる」「てん」の使い方も、知っている。

 

 『杞憂に外ならない』には落丁本が1冊あった。
  ・本文最後の一ページが抜けている(ラストシーンが欠けている)
  ・奥付が抜けている
  ・表紙にペンで「落丁」と書いてある
  ・雨の湿気で本が歪んでいる
 ふとしたときに捨てようと思うが、今はまだ手元にある。