飛び降りていないことの証明

つつがなく世渡りさえこなせれば

微かに温かい


結露のひどい部屋で何年も寝てきた。
これまで様々な手を講じてきたが、ついに除湿器を置くことにした。

除湿器というストレートな手段をこれまで使ってこなかったのは、寝室に置くにはうるさそうだからだった。
実際、かなりの動作音がする。寝つきの悪い人にはつらいかもしれない。
独特のにおいもある。これはまだ新品なせいかもしれない。
さらに、温かい風が出る。ただし、暖房の代わりになるほどではない。
やたらと存在感の大きな道具だ。

うるささと引き換えに、一晩で1.5リットルの水が溜まる。
冬の朝になると窓にも壁にもできていた結露は、劇的に改善されたように見える。

タンクは毎日空にしなければならない。
ここに溜まっている水が、やけに冷たくきれいに見える。
無為に流すことに、わずかなためらいすら覚える。

役立たずの自分、という思いの強い人間が、一見きれいそうな水を捨てる。
これは何なのだろう。
手順通りのただの作業だ。
なのに、間違っているような気がしたり、むなしい思いが付いて回ったりする。