飛び降りていないことの証明

つつがなく世渡りさえこなせれば

「ひっかくは、かみつくは」が気になる

(2016-06-19に一度公開した記事を元に改題・修正・加筆しました) ■「ひっかくは、かみつくは」が気になる 『よみきかせおはなし絵本(1)』(千葉幹夫編著、平成28(2016)年1月*1、成美堂出版)という絵本を見る機会があった。たぬきは海の底に沈み、おお…

ナタリーの家

■イベントに出展する際のサークル名を変えます。少しだけ変えます。 平素は格別のお引き立てをいただきありがとうございます。 これまで同人誌即売会などのイベントに出展する際に「ナタリー」というサークル名を使ってきましたが、今後はそれを「ナタリーの…

【連載小説】梁上の君子 目次

※当分の間、連載を休止します。(2016/3/30) 4月まで予定しておりました「梁上の君子」の連載を休止いたします。 本作を同人誌収録のために加筆修正した際、一部内容を変更することになりました。それにより、ブログ掲載分をお読みになった方が後に同人誌を…

とびだせどうぶつの森のデータが消えた話

いつものようにニンテンドー3DSを立ち上げ、とび森を起動させると、上のタイトル画面に見知らぬどうぶつが歩いている。 引っ越してきたのかしら、最近やさおとお別れしたしね、と思ってよく見ると、下画面に「つづきから」の選択肢がない。 私のカナリヤ村は…

テキレボ2感想 (2) 当日企画のこと

※書き終えて、付記。 この頃、膨大な量の報告書を延々とチェックする仕事ばかりしている。どうもその文体が、そのままこの記事に出たきらいがある。やけに堅苦しい部分はそのせいである、と言い訳をしておきたい。怖いことないよ。 というわけで、いろんな企…

テキレボ2感想 (1) 自分のブースのこと

■ラッキーバッグについて おわびから。ラッキーバッグと『投げたボールは戻ってくる』を同時にお求めになった方の一部に、同じ作品が掲載されている旨のお知らせが漏れてしまいました(Webカタログには記載していました)。もし読んでみて「あれっ?」と思わ…

Text-Revolutions第2回に出展します 【C-34】ナタリー

【イベント概要】Text-Revolutions 第2回 日時: 2015年10月10日(土) 11:00-16:00 (開催まで残り2日です) 会場: 都立産業貿易センター台東館 入場料: 無料【サークル概要】 サークル名: ナタリー カテゴリ: 純文学 代表者名: わたりさえこ (ときど…

別になくてもいいが、

「小説は、別になくてもいいが、あれば人生が豊かになる」という言説がある。私だったらそんな言い方はしないし、ニュアンスに違和感もあるが、一つのわかりやすい表現だとは思う。 ところで、前の記事で書いた通り、銅の玉子焼き器を買った。 今のところ、…

銅の卵焼き器を使うということは

数日迷っていたが、迷い続けるのも好きではないので、思い切って銅の卵焼き器を購入した。 前の卵焼き器は、テフロン加工が施されていたが、二年ほどでそれが剥がれてしまい、使い物にならなくなっていた。しばらく小径のフライパンで代用していたものの、や…

あとまえ(28) 『投げたボールは戻ってくる』

何しろ「売れて売れて仕方がないから再版しよう」というような話ではないし、この本を作らなくていい理由なら箇条書きで並べることさえできるのだが、いろんな事情がたまたま合って『投げたボールは戻ってくる』という本は日の目を見た。結果的に、再録集を…

あとまえ(27) 「町長選挙」

象印社*1発行のアンソロジー『ぼくたちのみたそらはきっとつながっている』に、小説を載せていただきました。 世界観を同じくする、様々な空想のまちが集まった本です。 4/19(日)開催のイベント・本の杜7で発売となるようです。詳しいご案内は、主宰のくまっ…

同じ空の下、快晴

ずいぶん前に、「三好達治『雪』のこと」という記事をブログに書きました。この詩についての私の読みを、つらつらと書いたものです。 さて、大山誠一郎のミステリ小説が好きです。初めて作品を読んだのは、PSPソフト「TRICK×LOGIC」でのことでした。おもしろ…

きっと人徳が必要だ

お笑い芸人をたくさん集める番組には、二種類あるのだなぁと思った。芸人が苦しんでいるのを見て楽しむ番組と、芸人が楽しんでいるのを見て楽しむ番組だ。 今の視聴者は、感情移入が強いと言うのか、「あれが自分だったら」という視点でテレビを見ることが多…

やるか、死ぬか?

「やるか、死ぬか。」という選択肢が究極のように語られることがあります。死と比べることによって、本気度がはかられるように思われているのかもしれません。 でも、どうでしょう。これはむしろ、問題を単純にしていることにならないでしょうか。「死んでも…

アニメの中のアイドルは

家人がアニメを観ていると、興味がなくても自分の耳に内容が入ってくることがある。アイドルを目指したり、アイドルになりたてだったりする女の子を題材にした作品がこんなに何種類もあるものか、と戸惑った。 登場するアイドル達は、わがままである。「あい…

白菜、蘇る。

冷蔵庫の野菜室に長く滞在しているはくさいが弱っていた。葉がしぼんでしまい、ちぎり取ろうとすると途中で裂けるように破れてしまう。 レシピ本の言うことには、このようになった野菜はただ水に浸けておくだけで、生き返るというのである。本当は葉の先まで…

借金取りの夢

怖い夢を見た。跳ね起きてからも、今のが現実に起こったことだったかどうか、繰り返し確かめないではいられないような夢だった。 駐車場で会った若い男、チャラい雰囲気だがなぜか人が好さそうに見える男から、家人が(ここが「自分が」でないあたり、夢の中…

abnop

長く残したいわけではなく、一時使うためのメモがある。ネット通販の支払いをするためにコンビニのレジで伝える注文番号だったり、イベントが行われる会場の名前だったり。そういうものは、役目が終わったら消してしまう。また、終わったらすぐに消さないと…

禁酒番屋

図書館から落語のCDを借りてきて流していた。林家たい平の「禁酒番屋」。 筋を忘れて聞き始めたが、だんだん思い出してきた。ああ、これは確か"下"の落ちなんだよなぁ、と。そういう展開が苦手な私は、確実にその結末へと向かっていく噺に、眉をひそめた。し…

新しいキーボードがやってきた

「やってきた」と言っても自分で注文していたのである。iPhoneに外部キーボードから文字入力したい場面があり、Bluetoothで接続できるものを探して購入した。 機械だかガジェットだか、ハードだかソフトだか、とにかくそういうものには詳しくない。使えない…

一茶は一茶の姿を見たか

お笑い番組を見ていてふと考えた。コントと漫才の違いは何だろう。 コントで芸人は役を演じる。しかし、漫才でも「ほなお前○○な、俺××やるわ」と言って役に入ることはままある。とすると、その部分は決定的な差ではない。 しばらく漫才を眺めているうちに、…

私がトラックの運転手だった頃

私がトラックの運転手だった頃、いつか人を死なせるのではないかという恐怖に苛まれ、発進のたびにでたらめな十字を切っていた。そうして日々、初めての道をぐんぐん進み、バックで細い路地に入っていた。 その仕事を辞めてからは車を運転しなくなった。そも…

お肉を1キログラム食べたい

お肉を1キログラム食べたい。 ――と思うことがときどきある。大体、お腹よりは気持ちが、何となく満たされていないときだ。 私はこれまで、1キログラム食べたい、ようし食べよう、と意気込んでレストランに行っては、そのグラムあたりの値段におののき、120グ…

雑念を退ける

何かを行おうとしても、雑念が湧いてくる。集中できない。そういうとき、どうすればよいのか。例えば、「死ぬべきだ」という念が起こったとする。反射的に、「いや、死ぬべきではない」と否定する。だが、「死ぬべきだ」の思いは攻撃を緩めない。「死ぬべき…

あとまえ(26) 『吾が子踊る』

五十回忌の法要に参列したことがある。お経をあげてもらったあと、法話の頭でこういうことを言われた。「五十回忌というのは、もう、お祝いなんです」 亡くなって長い年月が経っても、覚えられていること。参列者には私も含め、故人と直接会わなかった人も多…

わくドキモノクロセットレポ

今回の本を作るときに、プリントオンのわくわくドキドキモノクロセットを利用しました。本の用紙や加工を印刷所さんにおまかせするもので、一度やってみたかったのです。 装丁道楽というわけではなく、むしろノーアイディアで、自分で仕様を決めかねたので、…

共有の弊害

これだけ無数の人と感想が共有できるようになっちゃうと、作り手にとってはハードルが上がるというのを越えて、もはや辛いものがあるんじゃないか。 特に連載物やシリーズ物をやっている人は大変そうだ。例えば連載のミステリ漫画を想定してみる。作者が渾身…

正しく寄り添うためのメソッド

ある夜、急な腹痛に襲われてうずくまっている私の隣で、家人はテレビのバラエティ番組を観ながら笑っていた。この説明だけだと家人が単に非道なことになるので、もう少し補足しよう。私は腹痛を起こした。家人は「大丈夫か」と聞いた。私は「もう少し様子を…

Nothing happened.

小説を書くときに、不自然なところを取り払っていこうと考える。不自然な状況、不自然な会話、不自然な展開。省いて省いて、自然な部分だけを残そうとする。 そうしてできあがった小説は、ついに何も起こらずに終わる。 それでもなお良い小説であることはあ…

名前のないお菓子

少し前、Twitterでこんな意味の文言が流れてきた。「感想とは、その作品から自分が受けた影響を語るものである」 我が意を得たり、と感じたし、また他人がそれを言ってくれて助かった、という思いもあった。 私の場合、小説などの同人誌を読んでその作者に感…