飛び降りていないことの証明

つつがなく世渡りさえこなせれば

2017年がもし1週間の修羅場だったら

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この記事は 創作 Advent Calendar 2017 に参加しています。

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まばたきしているあいだの世界

どうぶつの森ポケットキャンプというスマホアプリで遊んでいる。自分の管理するキャンプ場の環境を整えて、いろんなどうぶつ達に遊びに来てもらうのだ。

一度キャンプ場から追い出したどうぶつでも、呼び戻せばまた喜んで来てくれる。逆に、追い出さなければいつまでもいてくれそうな雰囲気がある。まるで、プレイヤーが見ていないあいだは、キャンプ場の時間が止まっているみたいだ。しかもオートセーブで保存し忘れの心配がない。

今は毎日アプリを立ち上げているので分からないが、もし数日や数カ月遊ばないで、キャンプ場の管理を放棄したらどうなるのだろう。3DS版のどう森では、しばらく村に行かないでいると、雑草は伸び、育てた花は枯れ、親しくしていたどうぶつは手紙を残して引っ越してしまっていた。

ポケ森では、何年か経ってアプリがサービスを終了して、もう決してキャンプ場に行けなくなったときに初めて、

――あ、失った。

と感じるのだろうか。

2017年がもし1週間の修羅場だったら

本日はいかがお過ごしですか。私はわたりさえこといいます。小説や詩歌の本を作り、「ナタリーの家」というサークル名でイベントに出ることがありますが、あまり活発には動いていません。

2017年のイベント参加は1回だけで、11月23日(木祝)に開催された文学フリマ東京に「ナタリーの家のヒトリの客」という合同サークルで出展しました。「小説を書くのがつらいけど、何か小説の本を作ろう。目標はつらくないこと」というコンセプトで、『見えない聞こえない曲がりにくい』という本を作りました

このときに作った本がそもそも、自分達が小説を書く方法を検討し、実践し、考察するという内容でしたから、それについて新しく振り返ることは、実はあまりありません。本を読んでいただくか、ブログでもいくつか記事を書いた(リンク先の下部に一覧があります)のでそれを見てください、と言うのが最も丁寧なご案内となります。

そこで、今回はせっかくのアドベントカレンダー企画ですから、1年間をカレンダーで見直してみたいと思います。

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「津和野さん」は今回合同出展して本を一緒に作った津和野ヒトリさんのことです。最初が「飲み会」になっていますが、このときの会話がきっかけで本を作ることになったので、カレンダーに書き込みました。

この図から計算して、2017年を1週間に換算すると大体こうなります。

月曜日からずっとぼんやりしていて、
木曜日の夜7時に飲み会。
その夜に同人誌を作ろうと話をして、
金曜日の午前2時になって企画会議。
朝7時頃から原稿を書き始めて、
土曜日の早朝5時が小説の〆切。
そこから編集や企画の制作を始めて、
午後6時に入稿。
告知やイベントの準備をして、
日曜日の朝7時からイベント開催。
その後朝10時から通販開始。

小説を書いているのがほぼ金曜日の丸一日だけです。一夜漬けもいいところです。

ただ、もっと「月曜日から木曜日の夕方まで何をやっていたんだ」というまとめになるかと予想していたのですが、本を作り始めてからの部分を見ると、あまり修羅場という感じはありません。やるべきことがきちんとできていたからでしょうか。

実際、今回の本作りはほぼ予定通りに進行しました。原稿チェックは互いに何重にも行い、入稿もおおむね問題なし、告知や当日準備も余裕を持ってできました。

「予定はそれを守らない人も存在することを前提に組むべきである」というのは原則ですが、全員守るとこんなにいいのか! という当たり前の驚きがあります。みんなやっぱりできるだけがんばろう。

指摘するとすればやはり「上半期の創作活動が表に出ないものも含めてゼロなのはどうなんだ」ということになるでしょう。

ただ、小説を書いたり本を出したりすることが、楽しいことか苦しいことかの境界線上で、かなり苦しいのほうに傾いているとき、やりたいときにやりたいことだけやるという選択肢があってもよくはないですか。今年はそういう年だったのだ、と思うことにしました。

ところで、きょう12月11日は、日曜日の午後3時頃にあたります。夜までのんびりしていてもいいし、やろうと思えばまだまとまったこともできそうな時間です。いずれにしても、まもなく1週間が終わりますね。

お金持ちを眠らせ、お金持ちの屋根に雪ふりつむ

書店の店頭やテレビを眺めていると、今どきは年末に大掃除をするのではなく、普段からちょこちょこ掃除をして改まった大掃除はしないというのがトレンドのようです。

何かの本に「〈掃除好き〉と〈きれい好き〉の違いは、本人が自分で掃除をすることに重きを置いているか否かである」とありました。それで言うと、私は掃除嫌いな上、他人が掃除をするのも好きではありません。しかも汚れているのはやっぱり嫌です。

ですから、もし自分がお金持ちになったら、という妄想の中には、必ず埃が登場します。雪が誰のもとにも平等に降るように、どんなお金持ちの家にも埃は積もるんだよな。お金持ちだから、お掃除してくれる人を雇うだろうけど、でもそれも誰かが掃除をするのには変わらないんだよな、と。

つらい上に書きたいことも思いつかないのに、何か書かないと落ち着かない気持ちを、津和野さんはあるとき「業」と呼び、私は「ずっと前から見て見ぬふりをしている部屋の隅の埃」と言いました。この埃は書くことによってしか掃除されません。

埃なんかはじめから積もらなければいいのに。そんなことを言っても、この世で生活している限りは逃れられない道理です。困った。困っているあいだにも、目の端に埃が溜まっていくのが見えます。どこかで諦めて掃除をしないといけません。そうしなければ、私の家はいつまで経っても薄汚れたままなのです。

2018年への申し送り
―なるべく頭を使わずに小説を書き終えるための3つのリスト―

君が次に小説を書こうと思ったとき――それがクリスマス前の早い時期であればより良いと思うけれど、来年になってからということも、それより先ということも、この先二度とないということもあり得るだろう。それらの可能性を全部ひっくるめて、ここでは区切り良く、2018年への申し送りとしておこう。

君がこれを読むときには、もう小説の書き方なんて忘れているだろう。頭が真っ白になったときのカンニングペーパーとして、これを記す。チェックリストというよりToDoで、この通りにすれば何とかなることもあると思う。

全てやる必要はない。しかし君は全てやりなさい。どうせ君はまた、書けないとか、先が見えないとか、どうしていいか分からないとか言うのだろうから。そういうときに、できる限り悩まずに書くことはできないものかと、2017年の君は一所懸命考えていたはずだ。

(1) 文を整えるためのリスト

  1. “の”の連続は“にある”に置き換える
  2. “てる”は“ている”に置き換える
  3. “……”は削るか描写文に置き換える
  4. “( )”は削るか“――”に置き換える
  5. 人称と固有名詞で全文検索をかけて統一されていなければ正しく置き換える

(2) 次の文が思い浮かばないときのリスト

  1. 物を食べさせる
  2. 乗り物に乗せる
  3. スポーツをさせる
  4. 仲間を呼ぶ ※参照記事
  5. 最後の一文が浮かばないときは最初の一文をコピペする、最初の一文が浮かばないときは最後の一文をコピペする

(3) 収拾がつかなくなったときのリスト

  1. 後で埋めるつもりだった空行は消す
  2. 回想シーンは消す
  3. ツッコミの台詞は消す
  4. 主要登場人物(できれば主人公)を一人消す
  5. 文末に〈了〉と書く

幸せになってね。

メリークリスマス。

よいお年を。